賃貸物件を探していると「これは安い!」と思う物件に出会うことがありますよね。しかし、それが実は「おとり物件」だった…というケースも少なくありません。
本記事では、「おとり物件」とは何か、その特徴や見分け方、そしてもし見つけた場合の具体的な対処法までを分かりやすく解説します。安心・安全なお部屋探しをサポートする『ヘヤギメ!』が、あなたの物件選びに役立つ情報をお届けします。
おとり物件とは?賃貸でよくあるトラブルを徹底解説
おとり物件とは何か?
「おとり物件」とは、実際には入居できないにもかかわらず、集客目的で不動産サイトなどに掲載されている架空または既に成約済みの賃貸物件です。
このような物件は、「見せ物件」とも呼ばれ、ユーザーを店舗に呼び込む目的で使用されることが多く、掲載サイト上では本当に住めるように見せかけてあります。
なぜ「おとり物件」は存在するのか?
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情報の更新遅れ
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集客のための戦略的広告
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故意に削除しない不動産会社の営業手法
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他社の人気物件を転載して問い合わせを集める行為
これらは宅地建物取引業法に抵触する可能性があり、不動産公正取引協議会でも監視の対象となっています。
実際にあったトラブル事例
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事例1:成約済み物件を紹介され、「別の物件なら案内できます」と強引に誘導された。
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事例2:好条件の物件を電話で問い合わせたが「すぐに決まった」と言われ、実際にはサイト上に数週間掲載されたままだった。
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事例3:現地内見の予約をしたのに、当日「営業が来られない」とキャンセルされ、別日に別物件を紹介された。
利用者が被るリスクと影響
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時間と費用の無駄
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精神的なストレスと不安
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他の良質な物件の見逃し
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信頼できる不動産会社選びが難しくなる
おとり広告に対する規制と相談窓口
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宅建業法32条に基づく誤認表示の禁止
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不動産公正取引協議会への通報
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ポータルサイトの通報機能の活用
おとり物件の見分け方と判断ポイント
不自然に「安い家賃」の物件に注意
おとり物件の特徴としてまず挙げられるのが、「家賃が相場よりも極端に安い」ということです。例えば、周辺の同条件物件より2万円以上安いといった場合は注意が必要です。
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一般的に、賃貸相場はエリアや築年数、間取り、設備によって決まります。
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あまりに安い場合は、架空物件や既に成約済みの情報が更新されていないケースが多く見られます。
掲載情報の「詳細」が曖昧な物件
以下のような情報が不十分な物件には警戒が必要です。
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住所が番地まで記載されていない
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建物名の記載がない
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「現地集合」や「即内見可能」と書かれていても、詳細は問い合わせしないとわからない
これらの物件は、「まずは連絡させること」を目的にしていることが多く、問い合わせ後に「もう決まりました」と断られるおとり広告の典型例です。
1社しか掲載していないポータルサイト物件
ポータルサイトで「その物件が1社だけにしか載っていない」場合、独占物件のように見せかけている可能性もあります。
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実際に募集していない「釣り広告」の場合も多く、特定の不動産会社だけが好条件で掲載していることが特徴です。
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本当に人気・好条件の物件であれば、複数の仲介業者が同時に掲載していることが多いため、比較対象の有無は重要な判断基準となります。
問い合わせ・内見時の不審な対応
実際に問い合わせを行った際のスタッフの対応にも注目しましょう。
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電話やメールでの返答があいまい
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「現地集合はできません」「物件の住所は教えられません」といった対応
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来店を急かされる、もしくは契約を早く結ばせようとする強引な姿勢
これらは、成約済み・架空物件であることをごまかし、他の物件への誘導を行おうとするサインです。
信頼できる「不動産会社」の特徴
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更新頻度が高く、情報が整理されたWebサイト
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社名、所在地、免許番号などの会社情報が明記されている
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口コミ・評判、管理物件の実績や数などが明確
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利用規約、プライバシーポリシー、取引条件等が確認できる
特に、宅地建物取引業免許の有無や「お客様の声」が豊富かどうかも、安心して利用できるかの重要な判断材料となります。
問い合わせ・内見・契約時に注意すべきこと
問い合わせ時に押さえるべきポイント
おとり物件かどうかを見抜く鍵は、最初の「問い合わせ」段階にあります。
以下のような質問をすることで、架空物件や成約済み物件である可能性を減らせます。
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「現地集合での内見は可能ですか?」
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「物件の住所・詳細な所在地を教えてもらえますか?」
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「この物件以外にも似た条件の物件はありますか?」
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「この物件はいつまで募集していますか?」
これらの質問に対してはっきりとした返答がない場合、おとりの可能性が高いと判断できます。
内見時のチェックリスト
内見を通して実際の物件の状態を把握することは非常に重要です。現地集合を希望することで、営業の誘導を最小限に抑えることができます。
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現地にスタッフが来ない、急にキャンセルされる場合は物件が存在しない可能性もあります。
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内見時には、室内の状況・設備・築年数・間取りの表示内容との相違がないかを確認しましょう。
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賃貸借契約書のドラフトや「重要事項説明書」の用意がない場合、信頼性に欠けます。
契約前に確認すべき事項
契約は慎重に行うべきプロセスです。特に以下の点は、契約トラブルを避けるためにも必ず確認しましょう。
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礼金・敷金・仲介手数料・保証金などの初期費用の内訳
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契約期間・更新料・解約時の違約金など
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管理会社の対応体制、設備の修繕責任
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宅建士による重要事項説明の実施
契約書に記載されるべき内容と利用規約
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契約書には、賃貸借契約の内容が具体的かつ明確に記載されている必要があります。
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利用規約や管理規約などが別紙で添付されている場合、その内容も確認しましょう。
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物件の住所や設備の仕様、退去時の精算方法(ハウスクリーニング費など)も忘れずにチェック。
トラブルを防ぐための対策とアドバイス
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契約前には必ず複数の物件を見て比較検討すること
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物件情報が「更新されていない」可能性を念頭に置くこと
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自分の判断基準を持ち、営業の言葉に流されないこと
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信頼できる仲介会社を選ぶには、免許番号・所属団体(例:不動産公正取引協議会)も確認しましょう
おとり物件を避けるための探し方・選び方
ポータルサイトやアプリの活用術
現代の部屋探しでは、インターネット上のポータルサイトやスマートフォンアプリが主流です。ですが、おとり物件のリスクを避けるには、サイトの選び方が極めて重要です。
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情報の更新頻度が高いサイトを選ぶ
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掲載情報に「取引状況の記載」があるかを確認
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口コミやレビューが良い不動産ポータルを利用する
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物件が「多数の仲介会社」により掲載されているかどうかを見る
一部の悪質な会社は、自社でのみ架空物件を掲載して集客し、来店後に別の物件を紹介するケースが多く見られます。
検索結果を比較して「好条件すぎる物件」に気をつける
家賃、設備、築年数、場所などがすべて揃った好条件な物件は魅力的ですが、「安すぎる」「写真が少ない」「住所が不明」など、疑問点が多い物件には注意が必要です。
比較のポイント
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同じエリア・築年数の相場と比較
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設備(例:バストイレ別、独立洗面台、オートロック)と家賃のバランス
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募集情報が長期間掲載されたままになっていないかを確認
複数の会社へ同時に問い合わせるメリット
1社だけに連絡するのではなく、複数の不動産会社に同時に問い合わせをすることで、情報の信頼性が上がります。
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同じ物件が複数社から紹介されていれば、実在の可能性が高い
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各社の対応や提案内容を比較できる
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対応が早く、丁寧な会社を選ぶ基準にもなる
信頼できる不動産会社の選び方
宅建業免許の確認、管理体制、会社概要の公開状況などをチェックしましょう。
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株式会社、合同会社などの法人格
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所在地、電話番号、免許番号などが公式サイトに明記されているか
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「地域密着型」「自社管理物件あり」などの明示がある会社は信頼度が高い
また、**お客様からの声(レビューやSNSでの反応)**も参考にすると良いでしょう。
自分の条件を明確にして検索する
「希望条件が曖昧」な状態では、不動産会社に流されやすくなります。以下のような項目を事前に整理しておきましょう。
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家賃の上限
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駅からの距離
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間取り・広さ・築年数
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設備条件(バストイレ別・ネット無料など)
検索条件を明確に設定して物件を探すことで、無駄な内見や来店を避けることができます。
おとり物件を見つけてしまったときの対策
「おかしい」と思ったときにすべきこと
まず、違和感を覚えたらその感覚を無視せず、具体的な行動を起こすことが大切です。
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現地に行ったら物件がなかった
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問い合わせた物件が「成約済み」と言われた直後に、他の物件を紹介された
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ポータルサイトの情報と実際の情報が明らかに違う
このような場合、その物件が「おとり」である可能性が高いと判断してよいでしょう。
対応策:おとり物件を見抜いた後の行動
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すぐにその場で契約を進めない
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無理に話を進めようとする営業には「いったん考えます」と伝えましょう。
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会話や対応を記録する
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メール・LINE・録音など、証拠として残しておくと有効です。
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管理会社・所有者を問い合わせる
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実在するかどうか、正式な情報を調べましょう。
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他社でも同じ物件を扱っているか確認
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「その会社しか取り扱っていない」という物件は要注意です。
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通報・相談窓口を活用しよう
おとり広告は「宅地建物取引業法」違反に該当することがあり、報告先も用意されています。
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不動産公正取引協議会(全国に支部あり)
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国民生活センターや消費者センター
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利用したポータルサイトの「通報機能」
通報の際には以下の情報があるとスムーズです:
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問い合わせた物件のURLや住所
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対応したスタッフの名前や会社名
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実際にやり取りした日時や内容
「次に活かす」ための学びと注意点
おとり物件に出会ってしまった経験は、不快で無駄にも感じますが、今後の部屋探しに活かす貴重な体験にもなります。
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同じような「釣り広告」に再度騙されない
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物件の見極め力がつく
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信頼できる仲介業者の重要性を実感できる
このような経験を通じて、より賢く、安心して住まいを選ぶ力が身につきます。
「おとり広告」をしない・されないための心構え
おとり広告はなぜ行われるのか?
おとり広告とは、「実際には存在しない」「成約済み」「条件が偽られた」物件を掲載することで、ユーザーを集客する手法です。
これは不動産業界の中でも深刻な問題であり、消費者だけでなく業界全体の信頼性も損なう行為です。
主な理由:
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店舗や営業担当者が集客ノルマを課せられている
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ライバル他社に対抗するため「安く見せる」「条件を良く見せる」
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管理や更新を怠って情報が古いまま放置されている
これらは故意であれ過失であれ、宅地建物取引業法の広告規定に違反する可能性があります。
おとり広告に関する法律とルール
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宅地建物取引業法 第32条では、誇大広告や虚偽表示を禁止
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不動産公正取引協議会が定めるガイドラインも存在
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誤った表示を「不注意」で行った場合も、業務停止などの行政処分対象になることがある
不動産会社に求められる「透明性と誠実性」
信頼できる会社は、以下のような対応を行っています。
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常に情報を更新(定期的な反映・削除)
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写真・間取り・条件の記載に嘘がない
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問い合わせ時に誠実に対応し、無理な営業を行わない
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管理会社・オーナーとの連携がしっかりしている
これらは小さなことのようでいて、お客様に「安心」を与える大きな要因になります。
消費者ができる予防策
不動産会社だけでなく、利用者自身も意識を持つことが重要です。
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安すぎる・条件が良すぎる物件には疑いを持つ
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来店前に物件の「住所」「現地内見の可否」を確認する
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1社だけでなく複数社から情報を取り、比較検討する
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契約を急がされたら、一旦持ち帰って検討する勇気を持つ
特に一人暮らしや地方からの上京など、初めての物件探しをする人こそ注意が必要です。
おとり広告の被害を減らすために、私たちができること
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被害に遭ったときには、泣き寝入りせずに相談・通報する
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家族や友人、SNSなどで注意喚起を行う
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自分自身が「知識を持つ消費者」として賢く選ぶ意識を持つ
Q&A:よくある質問とその答え
Q1:おとり物件って本当にそんなに多いの?
A:残念ながら、現在でも存在しています。
ポータルサイトや一部の不動産店舗では、未だに成約済みや架空の物件を掲載し続けるケースがあります。特に、都市部の人気エリアでは集客目的のおとり広告が多く見受けられます。
ポイント:
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家賃が相場より安すぎる
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情報が更新されていない
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「すぐ決まった」と言われやすい物件
Q2:おとり物件を見分けるにはどうしたらいい?
A:複数の視点から確認することが重要です。
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他の不動産サイトに同じ物件があるか比較
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現地集合での内見ができるかを確認
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詳しい住所、物件名の開示を求める
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「即決」や「今日中」と迫る営業には注意
これらの対応で、「本当に住める物件か?」を見極められます。
Q3:問い合わせたら「その物件はもう決まりました」と言われた場合、どうすればいい?
A:まず、その対応が誠実かどうかを確認しましょう。
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別物件を強引に紹介された場合は疑いの余地があります
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「成約済み」なら、その情報がいつ反映されたかを確認しましょう
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納得がいかなければ、不動産公正取引協議会やポータルサイトに通報することも検討しましょう
Q4:どんな不動産会社が信頼できますか?
A:以下のような特徴を持つ会社は信頼度が高いです。
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宅地建物取引業の免許番号を明記している
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管理会社・オーナーとの連携が明確
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サイトやSNSで積極的に情報公開している
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自社管理物件を複数保有している
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会社所在地・代表名・連絡先が明記されている
逆に、所在地が不明、電話が繋がらない、更新が半年以上ないサイトは注意が必要です。
Q5:一人暮らしで物件探しする際の注意点は?
A:特に以下の点に注意しましょう。
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早く決めたいという気持ちにつけ込まれやすい
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周辺環境や治安、通勤通学の利便性も考慮する
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契約内容(礼金・敷金・更新料)をよく確認する
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できれば、第三者の意見も聞いて判断する(親・知人・専門家)
まとめ:安心して部屋探しをするために
おとり物件とは何だったのかを振り返る
本記事では、「おとり物件」という不動産業界における悪質な広告手法について、以下のような観点から解説してきました。
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架空・成約済み・条件偽装のいずれかに該当する「存在しない物件」
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集客目的で掲載されるケースが大半
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不動産ポータルサイトや仲介会社で実際に見られる問題
この記事で紹介した主なポイント
1. おとり物件の特徴と見分け方
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家賃が相場より安すぎる
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情報の詳細(住所・管理会社)が不明瞭
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問い合わせ後に「もう決まりました」と言われるケースが頻発
2. 問い合わせ・内見・契約時のチェックリスト
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「現地集合は可能か?」「他社で扱っているか?」を確認
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曖昧な回答や急かす営業は信頼できないサイン
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契約書・重要事項説明を丁寧に読み込む
3. 探し方・選び方のコツ
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複数サイト・会社から情報収集
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信頼できる会社(免許情報・実績・管理物件)を選ぶ
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希望条件を明確に設定し、絞り込み検索を活用
4. トラブル時の対処法
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記録を残す、証拠を確保する
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ポータルサイトの通報機能、不動産公正取引協議会などへ報告
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一度立ち止まって検討する冷静さが重要
5. 法制度と社会的背景
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宅地建物取引業法第32条による誇大広告禁止
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不動産業界全体の信頼性向上が課題
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消費者として「賢く見抜く力」が求められる時代
安心して住まいを探すために、今できること
住まいは、日々の暮らしの基盤であり、安心と快適を支える場所です。
その出発点が「おとり物件」であってはならないのです。
以下を意識することで、安心できる賃貸契約につながります。
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信頼できる不動産会社を見極める目を持つ
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インターネットの情報を鵜呑みにしすぎない
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分からないことは納得できるまで確認・相談する
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法的知識や相談窓口を知っておく
おわりに
物件を探すとき、インターネットには膨大な情報が溢れています。
でも、そのすべてが「正しい」わけではありません。大切なのは、正しい情報を見分け、安心して契約に進むための知識と意識を持つことです。
あなたの「後悔しない住まい探し」の一助になれば幸いです。